• Taichi Ogasawara

深センの都市開発にチームラボが参画のニュースについて思うこと


成長著しい中国広東省深セン市の大規模都市開発にチームラボが参画!というニュースを目にしました。

目にしたのは日経 xTECHの記事でしたが見出しが

「延べ300万m2の都市開発にチームラボ参画、体験型広場を深センに」

というもので、大々的に都市開発の全てにおいて建築を絡めた300万平米のマスターアーキテクトとしてチームラボが選ばれたのか!凄い!

と思いきや、よくよく記事を読むと都市開発の一部、多分商業施設かオフィスビルのメイン入口の広場(500平米くらい?)にチームラボ作成のインスタレーションが設置される予定だという内容でした。

文中の記事を参照します。

「延べ300万m2の都市開発にチームラボ参画、体験型広場を深センに」

記事は2018年5月10日まで無料で見る事ができます。

「ウルトラテクノロジスト集団」を標榜するチームラボ(東京都文京区)と、その関連会社であるチームラボアーキテクツ(同)は4月21日、中国広東省の深セン市で進む総延べ面積300万m2の大規模都市開発「C Future City(シー・フューチャー・シティ)」に参画中であると明らかにした。併せて、都市開発のコンセプトを象徴的に表現する広場として計画中の「Crystal Forest Square(クリスタル・フォレスト・スクエア)」の概要を発表した。


Crystal Forest Squareのイメージ(出所:チームラボ)

C Future Cityは、商業施設、オフィス、ホテル、レジデンスからなる複合型の都市開発で、チームラボとチームラボアーキテクツは、現地の深セン中洲集団有限公司と共同で事業に携わる。全体の完成は2021年を予定する。

 猪子寿之代表が率いるチームラボは、プログラマーのほか様々な領域のエンジニアやデザイナー、クリエーターといったものづくりのスペシャリストが集まり、境界を曖昧にしてフラットな関係で創作活動を続けている。企業向けのウェブデザインやシステム構築のほか、開発したコンテンツの製品化やパッケージ化といったビジネスも展開。販路を世界に広げ、会社規模は約500人となっている。

 また同社には、活動初期から建築家の河田将吾氏が参画。後に建築部門として一級建築士事務所のチームラボアーキテクツを設け、河田氏がその代表に就いている。従来型の設計事務所の域を脱し、「デジタルテクノロジー、アート、生物学、建築の境界を越え、新しい時代の都市と自然と人々のありようや、新たな建築や空間のありようを模索する建築集団」と位置付けている。

 C Future Cityの都市コンセプトは「Personalized City(パーソナライズド・シティ)」。「デジタルテクノロジーとアートによって、都市のパブリック性を保ちつつ個人に合わせて変容(パーソナル化)する都市を計画する」という。インタラクティブ性を持つデジタルアートの領域で活躍し、パブリック空間での常設作品も手掛けるチームラボが推し進めてきた考え方を、都市開発に展開する格好になる。


要は再開発地区の中の一部のスペースにチームラボがインスタレーションを設置するという話です。

以下、中国の不動産開発での経験からの感想です。

本当に感想なんで裏取りも何もしていないのですが

(一応、開発元である中洲集団有限公司の事やこの開発地区である深センの中州湾のことは中国サイトで少し調べてみました。)

中洲集団は中国国内でいう中堅のデヴェロッパーかと思われます。一応、深セン市内にTmallという6万平米程度の商業施設を開業させているようです。

通常、中国国内では土地の占有は認められていないので、開発業者は地方政府に対して土地の使用権(50年〜70年)を政府に対して提案します。

この開発情報は、公開コンペのような開かれたものではなく役人もしくは開発の情報を知った人間が間に入って開発業者に情報が流れてきます。

この情報を手に入れるために開発業者は頻繁に会食を行っています。

そうすると、開発業者はまず提案内容を担当者にプレゼンします。

このプレゼンの段階の事を業界では规划(Guīhuà)とか概念(Gàiniàn)と呼びます。

あまり力のない開発業者の場合はとにかく情報を掴むとすぐに提案する必要があるのでかなり無茶なスピードで設計事務所に完成予想図や平面計画を求めてきます。大体一週間から10日で欲しいと言われます。

中国ではじめてプロジェクトに参加した時にはこの無茶苦茶な要求に面食らってましたが慣れてくると、勘所がわかってきて対応できるようになってくるので不思議です。

ある程度慣れてくると、あまりにも提出まで時間が無い場合は力のない開発業者がとにかく政府に取り入りたい、などの状況が見えてくるので契約や条件面での折衝が重要となってきます。

この担当者にもレベルがあって一級都市と呼ばれるような街にはかなりの数の人間が動きます。副市長とよばれる役人がそれこそ10名単位でいるなんてこともザラです。各担当者にはそれぞれ贔屓にしている開発業者がいて、その担当者も自分が主導した計画が上手くいくと出世に影響しますのでシビアです。

担当者に気に入ってもらえたり、もともと力のある開発業者である場合は正式に市長など決定権を持つ人間に対してプレゼンをする権利が与えられます。その時に市長や決定権者が日本好きであったり欧米好きである場合はその趣向に合わせて提案する建築家などが選ばれます。

とにかく決定権者に選ばれるために有名建築家や外国人建築家などが中国国内開発業者とチームを組んで提案します。選ぶ方もやはり再開発が成功すると中央政界入りという出世に、もしくは天下りなどがあるので、なるべくインパクトがあり成功しそうな提案を選びます。

この時点ではある意味公平な選定作業になることが多いです。

今回のニュースがどの段階であるのかも実現可能性に大きく影響しますが2021年完成予定とのことですのでかなり初期段階であると推察されます。

めでたく開発の権利を手に入れると本格的な設計作業に移行します。が、大体の場合ここで一回プロジェクトが止まります。理由はそれぞれですが、よほどの大手でもない限りチームは一旦解散となる可能性が高いです。

その後しばらくして政府内で決定した人間が居なくなった頃にプロジェクトが動き始めますが、開発業者の人の入れ替わりも激しいため開発業者内でも担当者がわからなくなっている場合も多々あります。

契約段階での関係性も気になります。大体がマスターアーキテクトは施主(この場合は開発業者)と直接契約します。今回の深センのチームラボの話ですと中洲集団有限公司とチームラボが直接契約している場合は良いですがもしマスターアーキテクト(今回のプロジェクトではどこかは調べることは出来ませんでした)の下で契約している場合は、何らかの理由でマスターアーキテクトが外されると一緒に外される可能性がありますし、プロジェクトが完成するまでに設計者の変更なんて日常茶飯事です。

また中国人の考え方としてとにかく比較検討して1番良いものを選びたいという考え方があって、変更や対案の数が凄まじいです。時間の許す限り、納得する限り変更をしてきます。

変更のしすぎで最初に提案したものを忘れていたり、暫く変更案を出し続けて時間が経ったあとに当初の案を何も言わずに再度提案するとすんなり通ったりすることもあります。笑

開発業者の董事長がよほど惚れ込んでチームラボに依頼している場合を除くと、このままの形で実現させるには、チームラボ側がかなり上手くクライアント側をコントロールまたはリードしていかないと難しいです。

中国人相手のビジネスは、ここの部分のマネージメント(付き合い方が1番難しいです。提案内容の進行、お金の回収)が実は1番大変です。

日本流で押し通して上手く行かなかった日本企業がどれほどあったことか…。

逆にこれが上手くこの形で完成した場合は、日本に比べて物凄くマーケットも大きいのでソフトの分野で大々的に成功した初の日本企業になる可能性も秘めています。

小笠原企画では中国現地での業務支援も行っておりますのでお気軽にご相談ください。

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