• Taichi Ogasawara

街全体をホテルに 空き家対策の頓挫、群馬・甘楽町の場合

最終更新: 2019年4月15日


今朝の毎日新聞のニュースで「町全体が「ホテル」の空き家対策 頓挫の訳は」という記事が出ていました。

https://mainichi.jp/articles/20170613/k00/00m/040/027000c

町全体が「ホテル」、改修した空き家が「客室」--。こんなコンセプトで観光客らに滞在してもらおうと、群馬県甘楽(かんら)町が今年4月からのスタートを見込んでいた「The Hotel甘楽」プロジェクトが頓挫している。担当課の職員は「見通しが甘かった」と頭を抱えている。何があったのか--。【畑広志】

内容としては、2015年から2年かけて3700万円ほどの事業費の内3500万円を総務省の地方創生加速化交付金を利用して空き家(多分、古い古民家を借り受けたのだと思う)の改修工事を行ったが、ここにきて耐震改修や土砂災害の危険があるため、営業許可が下りずにオープンできないとの事。

ってこれ、スタート時点でわかった事なんじゃないの!

が最初の感想です。記事からは何人かの登場人物がいるみたいなんですが、まず行政。それと多分このプロジェクト「The Hotel甘楽」を主導したであろうNPOがあって、このうちの誰かがこのアイデアを聞いてきて始めたのでしょう。犯人探しをしても仕方ないのでやめておきますが、記事内での行政担当者の「見通しが甘かった」というのが全てでしょう。

この街全体をホテルに見立てて空き家対策にというのは、ここ2〜3年の流行りで、僕も企画書出すときにはよく使っています。

元々はイタリアの「アルベルゴ・ディフーゾ」と呼ばれるプロジェクトが有名で地域創生の一つのモデルケースとなっています。「アルベルゴ・ディフーゾ」とは田舎の過疎地を舞台に、町のレストランをレセプションに見立て民家の一室や小さな民宿などに案内します。


国内でもよく似たコンセプトで頑張っているところがあって有名なところでは、東京谷中にある「HAGISO」や、高知の仏生山の「まちぐるみ旅館」、熱海なんかでも取り組んでいる人達がいます。

私が企画設計した福岡市六本松のゲストハウス「Sen&Co.Hostel」でも「街のフロント」というのをキーコンセプトとして、レセプション空間で宿泊ゲストだけでなくて街の人が利用できるようなカフェやイベントができるような空間を作っています。

もう少し規模の大きなものとしては兵庫県の篠山で古民家を改装した篠山城下町ホテル「NIPPONIA」も有名です。

京都でも最近は町家を使った宿泊施設がたくさんあって、これも大きな意味ではこの系譜に入ってくる取り組みでしょう。

っで、今回の毎日新聞の記事にある群馬県の甘楽町がうまくいかなかったのは、多分ソフトの部分に時間を使わなかったところだと思います。まともな(金銭の授受がある場合です)建築士なら営業許可を取るのに耐震改修が必要なことくらい少し検討したらすぐにわかります。工事が終わってから、営業許可が下りないなんて事はまともな(業務として発注している場合)設計をしていたらまずおこりません。

甘楽町で行政がまずやる必要があったのは法律の整備だったのでしょう。

また補助金を使っているために法解釈のグレーゾーンが認められなかった可能性もあります。補助金を使ってしまったがためにプロジェクトが頓挫した可能性もあり、逆に補助金がなかったら始まっていなかったプロジェクトだったのかもしれません。

そのあたりも最初の企画段階で問題の洗い出しをしておくのが普通だと思いますが、今回は税金を使っているので誰の腹も痛まないんでしょうね。

まとめとしては、行政は単一事業者では難しいところをバックアップしてほしい。

例えば、

・空き家の所有者との面談の仲介

・バス停などの既存の交通機関との連携のバックアップ

・関係者を集めてのミーティングのセッティング

・行政関係の広報物での紹介

・シルバー人材や求職者などの情報を持っている団体の紹介

etc

なんかの情報を仲介しますよということを業務として明記してくれたら非常に助かるなと思います。

#群馬甘楽町 #TheHotel甘楽 #アルベルゴディフーゾ #街全体がホテル

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