• Taichi Ogasawara

田舎の古い民家を宿泊施設として運用できるのか?

最終更新: 2019年4月15日


3月、4月と出張と提出が重なり前の記事からかなり間が空きました。

インバウンド旅行者は変わらず好調でホテル建設も全国で猛ラッシュが続いています。ただ民泊の方は若干足踏み状態で理由は法規制が進む中、今まではグレーゾーンで運用していた人達も民泊新法の動向を見守りつつ現状維持。

新しく参入しようとしているプレーヤーの人達は合法で行うということは、つまり宿泊施設事業に参入するという事で、巷で聞いていたほど簡便にはできないということで諦めるか進めるかという段階で、こちらも上手く参入できていないようです。

倍々でふえていたairbnbのリスティング数の伸びも鈍化しています。

日本にairbnbが初めに登場したのが2014年で、当時は海外帰りの日本人を中心に在日外国人(特に欧米系)の人たちが興味半分で始めたものが、アベノミクスの影響で円安が加速し外国人旅行者の急増を受けて、とりあえずリスティングを出せば埋まるといった状況が一年ほど続きました。

その波に乗って最初期からairbnbのホストを始めた人達のなかには一人で100件を超えるリスティングを持つ人も現れ、そのホストの友人知人を中心に副業として広まったのが2015年でした。その後訪日外国人の増加にしたがい爆買いなどのキーワードと共にメディアにも取り上げられるようになると批判の論調と比例するようにリスティングの数は爆発的に増えました。

最初期から民泊市場に参入していてリスティングを増やしていったホストは、法的な問題が出てくるに従い、問題をクリアすべく法人を立ち上げ宿泊業に参入するグループと、清掃代行やコンサルなどの周辺ビジネスへと軸足を移すグループ、撤退をする人たちに別れ、またホテル不足からくる宿泊費の高騰にあわせ従来からある宿泊業を生業とした企業で資金力のあるところは積極的なホテル建設へと移りました。

また、他業種の特に不動産系の大企業も民泊分野に進出しようとしましたがコンプライアンス上の問題からか、民泊市場に参入するタイミングの様子を見ているといった段階です。

今は中小の不動産屋さんや個人で大家業をしている人達がこの民泊市場に一番関心をもっていて情報収集を活発に行っているようですが、思っていたよりも手間とお金が掛かりそうだという感想をお持ちなのではないでしょうか。

リスティング数の増加と、批判的な報道が出たことによって不動産屋さんではトラブルのもとになりそうな民泊に使用されるような物件仲介を嫌い、結局のところ同意をとりつけずに2ヶ月もしないまま退去を迫られるといったケースが続発しています。

これから民泊や宿泊業を始めるためには、新法成立が早いところだと来年の3月には施行されるのでそれまで待つか、合法的に旅館業の営業許可を取れる物件を探すかの2択しか残っていません。

ただ、リスティングの数が増えすぎた為に都市部では一泊料金の値崩れがおこっており前ほど旨味のあるものでもなくなっています。新しく参入される方はこれまで以上にしっかりとした対策と資金を用意して始めないと間違いなく失敗するでしょう。

結局のところ、宿泊業で一番大事で後から変更できない立地選びや物件選びの段階で成否の半分は決まります。1番予約が埋まりやすいのはターミナル駅から近く交通が便利な立地です。ですが、こういった場所は購入するにしても賃貸するにしてもイニシャルコストが高く付くので資金力のある企業以外は参入することは難しいでしょう。逆にこういう場所で賃料も安く合法的にできる物件を見つけることができれば、あまり深く考えずにはじめても失敗する可能性は低いでしょう。

そうなってくると立地選定では外国人旅行者の視点であまり地価の高くない場所を見つけることが重要になってきます。例えば聞いた話ですが東京の荻窪には外資系企業の日本支社が多いそうです。なぜかというと荻窪は丸ノ内線の終着駅で外国人出張者からすると東京の地下鉄は複雑すぎて迷うので、終着駅だと逆に便利だとの理由で支社が多いそうです。

新規で民泊市場に参入するプレーヤーはまずそういう視点で立地を選定して、次に重要なのがデザインです。ここでいうデザインは格好のいい内装もそうですが、なにかコンセプトを先鋭化させるのも他と差別化するのに有用な方法です。例えば、日本のアニメは海外の人に非常に人気ですがそういったものをテーマに内装をつくるのも競争力のあるものが出来ると思います。

立地で劣る場合は特にデザインやコンセプトは重要です。

他にもホスピタリティや朝食をサービスしたりとか、外国人旅行者との交流は楽しいのですがマネタイズが難しく、なるべくオペレーションに手間をかけないことが重要です。民泊単体でみると立地とデザインの2点に絞って注力し運用費をなるべく抑えて宿泊費を抑えることが成功へのキーワードではないでしょうか。


前置きが長くなりましたが、タイトルの「田舎の古い民家を宿泊施設として運用できるのか?」です。

立地とデザインが重要だと書いてきましたが、立地の部分で都市部以外で外国人観光客が喜びそうで家賃や購入の費用が低くて済みそうな場所を考えると真っ先に思いうかぶのが、日本の田園風景の残る田舎です。

実際、日本の田園風景は都市部の日本人も含めて外国人観光客も興味があります。あまり知られていませんが中国の大陸の人たちで高い教育をうけて年収の高い人ほど日本人が想像しているよりも綺麗な空気や安全な食材に関心があります。

ただ、あまりにも交通不便な山奥だとそれを補うくらい魅力のある施設を作る必要が出てくるのでイニシャルコスト含めて、スタッフなどの人件費などのランニングコストも増えるので民泊としては難しいでしょう。

空港から1時間から1時間半くらいでこれて都心部には30分程度でいけるような、いわゆる田舎で清潔で快適なものを作ることができれば充分に民泊として運営できるでしょうし、既にそう考えて動いている人も結構います。

そんな田舎で運良くそういう物件に巡り会えたとして、宿泊施設として運用しようとしてつまづく、実は余り知られていない大きなハードルがあります。

それは、やたら建物や土地の値段が安い場合です。そういった場合によくあるケースがその建物が市街化調整区域内にある場合です。

やっと今回のテーマの本題です。

市街化調整区域とは都市計画法で定められた市街化を抑制される地域です。この地域では基本的に建物を建てることができません。建てて良いのは農業や漁業、林業に従事する人のための住まいと公的に必要なものだけです。

ですので、そういった安い民家を購入、あるいは賃貸したとしても用途変更はできず旅館業の許可を取ることは不可能となります。もしくは公的に必要だと認めさせ開発許可をとれば可能かもしれませんが、一般の人ではほぼ不可能でしょう。

しかし、昨年末に国土交通省から発表された報道資料によると

「市街化調整区域における建築物の用途変更について、古民家等の既存建築物を地域資源として、既存集落のコミュニティ維持や観光振興等による地域再生に活用する場合に、許可の運用が弾力化されるよう、地方公共団体に技術的助言を発出します」

とあります。

簡単にいうと、こういう古民家を使って宿泊施設などに用途変更して使うことによって農村地域の空き家対策などに活かして下さいという内容です。ですので、この開発許可制度の弾力運用の告示によって市街化調整区域内の古民家の用途変更が可能になりそうです。なので安いうちにこういう市街化調整区域内に建つ古民家を購入しておくのは、良いかもしれません。

ただ、古民家なのでもちろんのように建築基準法上の確認申請や消防同意などもないので、それらをクリアするのには改修費用や申請調査費用は想定以上にかかります。改修費用などのお金の話は今後会員限定のメールマガジンでもお話ししますので、興味のある方はメールマガジンにも登録してみて下さい。

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