• Taichi Ogasawara

ゲストハウスがショッピングモールのキーテナントになる!?

最終更新: 2019年4月15日


ここ2,3日少し福岡も温かいです。小笠原企画の小笠原です。

前職では中国で大型のショッピングモールの設計や開発をしていました。その開発ノウハウには結構オーソドックスな型というのがあります。

まず全体の面積ですが、延床の面積が約10万平米前後。階数としてはだいたい5階建て。敷地に余裕がない場合は6階建てで、一層あたりの床面積が約2万平米前後。MD計画としては上階にシネコン、地下に総合GMS(大型のスーパーマーケット)、1階のアンカーテナントとして集客力のあるユニクロ、H&M、ZARAなど最近では無印良品なんかもはいります。フードコートや物販、レストラン街をそれぞれ集客の弱そうなエリアに配置。これに加えてその施設の特徴となるエリアを1つか2つ作っていくというのが、世界の大型ショッピングモールのスタンダードな形です。

またこの大型のショッピングモールに併設してオフィスタワーやホテルも含めた 「HOPSCA」と呼ばれる再開発いや複合開発がメジャーです。イメージとしてはキャナルシティ博多や六本木ヒルズがまさにそれで、「モノを購入する空間」からいかに「滞在時間を増やしてもらうか」を競う段階に移っています。

日本ではどうしてもデパートや百貨店が強くて、ここまで大型のショッピングモールというとどうしてもイオンのイメージとなります。ちなみに一般的なイオンモールは3階建て4万平米前後で2核1モールと呼ばれる形が多く、ショッピングモールの形式としては少し古い形です。

しかしシンガポールを始め東南アジア、そして商業床面積でアメリカを抜いた中国なんかでは、世界中からデベロッパーが集まり(もちろん日本のイオンやららぽーとなんかも参戦しています)そこに地場のローカルデベロッパーも加わり、アジア中の至る所でこの複合開発で血みどろの争いを繰り広げています。

そして今では発展途上国だと思ってたアジア各国は、世界中から投資マネーとそれに伴いプレイヤーがあふれシノギを削り開発に邁進したことにより、ショッピングモールを含めた複合開発の分野では完全に日本を追い越しています。今日本でも話題になっているカジノを含めた複合開発でも国内にはカジノを含めた運営ノウハウや設計ノウハウのある会社は存在しないでしょう。

話が少しそれました。

表題の件です。

「ゲストハウスがショッピングモールのキーテナントになる!?」

ここ、2,3日東京の人気ゲストハウスの「BOOK AND BED TOKYO」が福岡パルコ内に出店し今年の4月にオープンするというニュースが私の周りでも話題になっています。福岡なんで「BOOK AND BED FUKUOKA」とかになるんでしょうかね。

http://tenjin.keizai.biz/headline/5819/


写真はfablabo hakataの太郎くんがこの前、東京出張の際に送ってきてくれたのを使ってます。

これ結構新しいかも。逆に今までなんでこういう発想が出てこなかったのか不思議に思うほどです。今回のパルコ側できっと「BOOK AND BED TOKYO」を誘致なり企画なりした人がいると思うんですが、凄いなと思いました。また商業施設内に出店を決めた「BOOK AND BED TOKYO」のオーナーも凄いなと。このパターンが上手くいくと今後「BOOK AND BED TOKYO」は物件取得が格段に楽になりますし、出店スピードも強烈にスピードアップします。「BOOK AND BED TOKYO」の運営会社はアールストアの浅井さんという社長で、面識はないのですが歳も近くてなかなかの切れ者で要チェックです。

ゲストハウスとしては、余分な施設コストがかからず、最高の立地に出店できるというのが魅力です。特に出店加速させる場合はモール内での出店はありです。さらに海外展開も視野に入れると、モールというのは柱スパンや建物サイズがある程度規格化されているので工事ノウハウや設計の規格化が進めやすいので、当たるとデカいです。

他に最近では、飛行機のファーストクラスをイメージしたカプセルホテル「ファーストキャビン」が鉄道会社と組んで出店を加速させようとしています。

立地として鉄道会社の持つ土地は最高の場所にありますが、都市型ショッピングモールの場合も、それに次ぐくらいの好立地にあり駅舎に比べて旅行者が多い繁華街に近いのも魅力だと思います。

ゲストハウスはモール内のテナントとして見ると集客力は余り高い業態ではないですが滞在時間という点ではダントツに高くて、寝る以外の食事や買物といった部分で商業施設と非常に親和性が高いです。

商業施設というのは上階に行くほど集客率がおちます。

前職で、「1階の集客率を100%とすると一層あがるごとに集客率は20%落ちます。なにもしないと5階ではゼロになります。だから〜」という決まり文句のようにプレゼンの時に話していた時期がありました。

例えば、昔の百貨店の屋上遊園地やレストラン街、映画館なんかが上階に集まっているのはそういう理由からです。

商業施設の開発者・運営者というのは他の商業施設と、どうやって差別化していくかといつも頭を悩ませています。特に上階の動線よりもさらに奥まったスペースは非常に難しいものです。そのような場所で目的性の高いテナントを誘致もしくは出店してくれればいいのですが、モール内の立地が悪いので、よほどブランド力なり目的性が高くないと撤退が続きます。

さらにそんなに都合よくそんなテナントはなかなかないので、他の商業施設との差別化を考えると、結構難しいものがあります。最近の商業施設で眼科とか、歯医者さんなんかがこういったエリアに出店されているのはそういった理由からです。

今回福岡パルコのテナントとしてゲストハウスという業態(パルコ側は「BOOK AND BED TOKYO」をゲストハウスと言う業態として見ていない可能性もありますが)をテナントとして入れたことは、結構新しいトレンドの始まりかもしれないなと思いました。

もう一点だけ。

あくまで推測なんですが、なぜ商業施設の中にゲストハウスをテナントとしていれるという、この新しい試みが東京ではなく福岡なのか?

福岡の人はよそものに優しくて、新しいもの好きだから、なんてことはまったくないと思うんですがもしかしたら少しはあるのかも

法律や規制がハードルだったんじゃないかと。

商業施設の設計で苦労することの一つに建築基準法のなかで異種用途区画というがあります。簡単にいうと違う用途のお店とは防火の壁でしっかりと仕切らなければならない、レストランとホテルが隣接する場合は壁で仕切らなければならないというのがそれです。

この建築基準法の異種用途区画と矛盾が生じないようにだと思うのですが、各行政が制定する旅館業法のなかで、よく宿泊施設使用者との動線が他の用途を利用する人とは混じっては行けないというのがあります。都道府県によって違います。

どういうことかと言うと、ショッピングモールなりデパートの中にゲストハウスを作る場合は専用の出入り口を設けて、他の利用者と交わらないようにしてくださいということです。

実際はもう少し弾力的なケースが殆どですが、商業施設側としては、ただでさえ他の業態に比べて収益性の低いゲストハウスをテナントとしていれて、更に、そこの宿泊者は施設内の他の店舗を利用せず、例えばエレベーターやエスカレーターなども専用のものを用意しなくてはいけないかもしれないのでは、なんのメリットもありません。

そんな規制がある中、福岡市では昨年の12月に民泊の関係で一部規制緩和されました。今までは共同住宅を使用する居住者と宿泊者とが同じエレベーターや廊下を使用することが出来ませんでした。この問題をクリアするために、用途の混在の部分が緩和されました。この民泊を対象にした法改正によってショッピングモール内のテナントとしてゲストハウスがOKになったんではないかと、思っきり推測してみましたがどうでしょう。関係者のかたで詳しいことを知っている人がいたら教えてほしいな。

これによって、珍しい商業施設内のテナントとしてのゲストハウスが生まれた、パルコの「BOOK AND BED TOKYO」の第一号が福岡だったのは偶然ではなく必然だったのかもしれないと思いました。

では、このへんで。

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