• Taichi Ogasawara

地元がヤバい本 地域再生の始め方が詰まった入門書

最終更新: 2019年8月26日

まちづくり業界のベストセラー作家木下斉さん著の「凡人の為の地域再生入門」を読む。

彼の著作はいくつか拝読させて貰ったが今回のは小説形式で非常にわかりやすく、内容も濃い。


<あらすじ>

主人公の瀬戸淳の地元は、東京から新幹線で1時間、さらに在来線で20分という、人口5万人ほどのどこにでもある地方都市。 ある日東京で働く淳に、母が「商売をやめ、店も家もすべて売り払い余生を楽しみたい」と言い出した。 淳は東京と地元を行き来し、廃業手続きや不動産売却といった〝実家の片付け〞に追われる。 その過程で、地元で飲食店経営者として活躍する「元ヤン」同級生の佐田から「売るなら、一緒に建て替えて事業をやらんか」と誘われる。 最初は「自分にはそんなことはできない」と思うものの、徐々に気持ちが傾く淳。 やりがいを感じられない東京での仕事。寂れていくだけの地元の姿。果たしてこのまま、実家を売り払い、東京でサラリーマンを続けることが正しい道なのだろうか――。 そして、淳の「実家の片付け問題」は、シャッター街の再生、さらに地域全体の再生という思わぬ方向へと進んでいくのだった。




著者自身がまちづくりや地方再生の話は理論的な話になりがちで見落とされがちなエモーショナルな部分に焦点を当てたというだけあって、この界隈の関係者であればどこかヒリヒリするような感情を受けるであろうリアリティがある。



中でも主人公達が地方の商店街にある元八百屋の実家を改修して複合店舗へと再生させ一定の成功をおさめた後、次のテナントを探す段階で物件オーナーと交渉が難航する場面がある。


この時、オーナー側の欲しい賃料と主人公側が払える賃料とに開きがあり、計画が頓挫しかける場面があるのだが、そこは自分自身も似たような経験をしてきているので特に感情移入させられた。

ストーリーではオーナー側が支払っていた管理料が馬鹿高く維持費がかかりそこをベースに賃料算定するので、その部分を解決する事により主人公が払える賃料にできたという、中々レアなケースと解決方法を知ることが出来た。



よくあるケースで僕自身が経験したり聞いたりしたのは、


安く借りれたが契約段階でキッチリ話しあわなかった為地域住民から少しクレームが入りオーナー側から立退きを迫られる。


とか、


街中の比較的状態の良い町家を借りれたが、持ち主が複数人いて揉めた。


とか、


建築の用途変更など法律上の問題を軽くみて改修費が想定よりかかりそうで断念。


とか、


ほとんどタダ同然で田舎の古民家を借りて3年ほど手直しをして住んでいたが突然大家の娘が帰ってくるというので追い出された。


とかはよく聞きます。



それでこの本は是非まちづくり関係の活動をしている人に読んで欲しいのだろうが、結局のところまちづくりや地域再生を第一義でやる人はダメで、個々人がそれぞれ地方に眠る可能性を見つけてしっかりと稼ぐ。そうやって経済が回ると結果的に地域再生に繋がるという至極真っ当な、しかし著者の属するまちづくり界隈では見落とされがちな主張であったのであります。


もう一つは、補助金助成金の類いが結果的に地域から競争力を奪い衰退を早めるという主張で徹底的にお役所仕事を下から上まで批判されています。



そんな私は著者内で語られるインチキコンサルとは違う!という事を売りにしたインチキコンサル2.0に早くなって補助金を有効に活用したいです。


地域再生とか地方連携とか考えない方が上手くいくという話しなんで商店の2代目もしくは事業がうまくいかなくなってなんとかしようと考えている商店主が新規事業を始める時に読んだ方が良いんでしょうね。事業企画の立て方や心構えなんかは非常に為になるはずです。



ただ、一応僕のリアルな意見としては何かはじめる時は必ず一人ではじめた方が良いです。作中でもその重要性が語られている割には、主人公はもう一人の主人公とでもいうべきヤンキーの虎である高校時代の同級生である佐田と二人三脚で事業をはじめることになります。ただリアルにはこれ結構な確率でもめます。友人同士や知り合い同士、横並びの関係は夫婦以外では失敗するので必ず最初のプロジェクトは苦しくても自分一人でやるべきだと僕は思います。



参考図書

・地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門

・ヤンキーの虎



追記

「稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則」に小説のモデルになったプロジェクトが出ていました。

memo

<欅屋>

・愛知県春日井市JR勝川駅前にある元植物の種や苗を売っていた木造2階建の古家をシェア店舗にリノベした「TANEYA」

<物件オーナーの維持管理費を削減>

・熊本城東マネジメントのゴミ処理の共同契約

・湯のまち城崎の各宿泊施設のエレベーターの共同保守契約

<オーベルジュ>

・兵庫県丹羽市柏原町のイタリアンレストラン「オルモ」?

<まちづくり会社>

・リノベーションスクール

・AIAエリア・イノベーション・アライアンス

・公民連携事業機構

<廃校を活用してのプロジェクト>

・東京千代田区の「アーツ千代田3331」

・東京都新宿の「東京おもちゃ美術館」

・北海道新冠町にある「太陽の森ディマシオ美術館」


断熱改修などは特に本書の中でモデルを見つけれなかった。他にもあれば教えてください。



参考図書

・稼ぐまちが地方を変える 誰も言わなかった10の鉄則

52回の閲覧
  • Instagramの - ブラックサークル
  • Facebook - Black Circle

fabbit , 1-1, Tenjin, Chuo-ku, Fukuoka

Copyright© 2017 by Ogasawara Planning Design.All Right Reserved.