• Taichi Ogasawara

その3<工事業者探し>一棟貸しの宿泊施設「長崎坂宿GUEST」が完成するまで

最終更新: 2019年11月29日

長崎に一棟貸しの宿泊施設「長崎坂宿GUEST」を2019年11月に開業しました。


長崎市に小笠原企画が企画運営する

一棟貸しの宿泊施設「長崎坂宿guest」が開業しました


オープンまでの顛末を事業者目線で、なるべく包み隠さず時系列に沿ってまとめてみました。

小規模の宿泊施設やお店を開業したいという方にも参考になるかと思います。


1、その1〜物件探し編〜

2、その2〜計画から資金調達編〜

3、その3〜工事会社選定編〜

4、その4〜許可申請から開業まで編〜




<相見積もりから工事会社決定まで>2ヶ月

無事、地銀から融資がいけそうとの連絡がきたので、工事業者選定に入ります。

相見積もりをとり比較することにしました。

工事会社に相見積もりをとるのに大事なことがひとつあります。

それは同じ条件で見積もりを取ることです。



条件を同じにするには、同じ図面で同時に見積もりを取る必要があります。

実施図面とよばれる詳細な図面を用意し、これを工事会社に配ります。



ポイント

相見積もりを取るには実施図面が必要



工事会社ですが比較検討するには3社くらいは集めたい所です。



まず1社目は前回の工事でお世話になった大工さん。現地を見てもらい実施図を渡します。金額次第ですが気心しれてますので本命です。この大工さん自体は70歳近いのですか息子2人が大工で他の一人親方に比べると馬力があります。また地元で長いこと大工をしているので情報通です。



2社目は大家さんが普段から付き合いのある工務店。この周辺で地域密着で小回り聞く工務店です。大家さんは一体の大地主で、全て特命工事(基本お任せ。場合によっては施工後に請求書が届く)だそうです。ただ、付き合いが長いためか少し普段の工事金額を聞くと少しお高め。


普段付き合いもあるので頑張って見積もりを出してくれるでしょう。


かと思いましたが、大家さんから推薦いただき工事見積もり参加の打診の電話をすると

「うちは、そういう競争させられるようなものには参加できません。」

と、怒られました。

外から来たよく知らない建築士に縄張りを荒らされたような、そんな感覚もあるのでしょうか。

ちょっと面食らいましたが、大家さんにはとりあえず報告。


3社目は長崎の知り合いの建築士さんに紹介頂いた大工さん。

ちょうど予定していた工事がなくなり、都合よいとのこと。

結構乗り気で参加してくれるみたいで資料を一式渡して見積もりができるのをまちます。



2社目の工務店に断られたことを大家さんに報告すると、また別の工務店さんを紹介してくれました。

近所で不動産屋も営む工務店です。

地元の大地主の物件を一手に扱う特命工務店の牙城に割って入る不動産屋工務店といった構図でしょうか。

こちらも現場を見てもらい資料一式を渡して見積もりをまちます。


とりあえず、見積もりが出てくるのを待ちます。

そこから一社に絞り調整をして契約です!





ところが、まず本命大工さんから見積もり提出3日前に連絡が。

「すいません。息子と打ち合わせしたんですが、他の現場が立て込んどってどうも納期に間に合せきらんとです。

迷惑かけるの申し訳なかばってん、お断りさせてもらおうかと思いまして。」

と開口一番、長崎弁で謝られました。


あなたが本命だ!と食い下がりましたが、決意は固く受け入れるしかありません。



本命は消えましたがまだ2社あります。


が、結局見積もり提出日にはどこからも提出はなく、こちらから連絡すると

不動産屋工務店

「職人がつかまらんくて。

申し訳ないが、もう少し時間が掛かります。

来週の月曜日には提出できるのでもう少し時間が欲しいと」


建築士紹介の大工さんは、当初やる気はあったのですが、急に他の現場仕事が入ったらしく、そちらを優先することになり熱が冷めてしまい見積もり提出に後2週間以上は必要との実質断りの連絡が。




詰みました。




昨今の人手不足を甘く見ていました。

建築キャリアを始めた2000年代は建設不況でしたので、当時は工事見積もりに参加させてほしいとゼネコン、工務店が設計事務所に営業にきていました。そもそも設計事務所も仕事がなくて出せる仕事もなかったのですが、その後、建設バブルの中国に行っていたので、現在の地方都市の建設市況を甘く見ていました。



ポイント

・建設業界は人手不足が深刻。

・工事費もあがっている。

・そもそも工事を請けてもらえない可能性も高い



すでに予定していた工事開始日。

実際は工事見積もりすら出てこない状況。



困りました。



ネットで工務店探すか?

いや、工務店だけはネットで探すとろくなこと無い。

とりあえず件の長崎在住の建築士さんと善後策を相談。


そこで、一つ思い出すことが。

独立したての頃に、クロス職人の親方みたいな人からインテリアの仕事をたまに貰っていたことを思い出しました。

その人のまわりには若い大工さんや電気屋さん、左官屋さん、塗装屋さんが一緒にチームみたいな感じで仕事を回し合っていました。


そう。


職人って横の繋がりがあって、彼らは彼らでどこどこの現場は人使いが荒いとか、支払いを渋られるとかの情報を共有しているのです。

なので、良い職人さんの周りには良い職人さんが集まり、良い工務店の情報もよく知っています。



ポイント

・工務店探しに迷ったら職人に聞け!



そこで、件の建築士さんに、そういう職人さん知り合いにいませんか?と聞いてみることに。

そうすると案の定、一人仲の良い設備屋さんがいるとの事。

早速、連絡をとってもらいます。


すぐに折り返しの連絡があり、一つの工務店を紹介してくれるとの事に。

内装屋さんとの事でしたが、すぐに社長から電話を貰え図面を送ることに。

週のはじめには資料を送り週末の金曜日に電話を貰い、大体の見積額が出ているが、実施図通りに見積もると金額がかなりオーバーしていると。

金額を聞くと予算から約100万円程度オーバーしていますが、それでも想定内だったので一度お会いして打ち合わせをしたい旨を伝える。

たまたま翌日、福岡の方に出張できているらしく、時間をあわせて打ち合わせすることが出来ました。


打ち合わせでは予算を伝え、減額項目も伝えると、向こうもこの規模だったらそれくらいが妥当でしょうとのこと。

結果、予算内に納まり、工期も予定通りで契約できることになりました。



工事業者選定を初めて約2ヶ月がたっていました。





<工事期間>1ヶ月

無事、工事契約を交わし地銀の担当者に連絡し融資実行をしてもらうために銀行へ。

無事融資実行してもらい、すぐに工事会社に1回目の支払いを行いました。


工事開始です。

まず、懸念事項である解体作業からです。

初日の解体日の後すぐに現場を確認します。

改修工事は解体してみないことにはわからなことが結構あるので初動が肝心です。



ポイント

・改修工事は解体してみないとわからないことが多いので、初動が大事。



現場確認するため福岡から長崎に行く予定でしたが時は2019年8月末。

九州北部を豪雨が襲い、JRも高速道路も通行止めで現場に行けず。

さらに東京出張が重なり、結局現場に行けたのは解体工事開始から一週間後の9月に入ってからでした。


現場入りしたときはすでに、解体工事は終わり大工工事に入っていました.

特に大きな問題はありませんでしたが、予想していた場所と違うところに柱があり、寝室の窓の幅が想定していた半分に。

これが後々、申請段階で問題になってきます。


また設計段階で見落としていたのが電力容量。

既存では20Aしかなく契約電力を上げる場合は幹線からやり変える必要があり、追加工事になりました。



今回の改修工事で見落としたポイント

・想定外の柱や梁で開口部の位置や寸法が変わる場合があるので注意

・電力容量に注意



設備や建具は仕様がだいぶ変更されており工務店お任せになっていたので、その確認。

いくつかの設備は施主支給に切り替え。

キッチン、洗面、便器、ユニットバス、手洗器、玄関ドアなんかは楽天やアマゾン、IKEAなどを使って施主支給するのも方法です。


工事自体は大きな問題もなく現場担当者とも時間がたつにつれて意思の疎通もできるようになり、非常にスムーズに進みました。

そして当初の予定通り工事開始から1ヶ月ほどで無事、引き渡し。



(大家さんにも、今回の工務店を他の現場でもお付き合いするように強力に推薦しました。)



ポイント

・息の合う工事会社があるなら予算を伝えて特命で工事をしてもらうのも有り

・設備に関しては工務店経由で仕入れるよりもネットで購入して施主支給するほうが安い場合も





さていよいよ次回がラスト

4、その4〜許可申請から開業まで編〜






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